太田和彦氏が居酒屋の世界遺産的存在だと
称賛するのが京都西陣にある居酒屋・神馬だ
私も一度お店にお伺いしたことがある
古い居酒屋ながら
御家族でされている温かで穏やかな雰囲気と
酒とつまみの旨さが一体となって
ほっかりと落ち着けたことを良く覚えている
共同通信の編集委員の上野敏彦氏は
京都で最も古い居酒屋の一つと言われる神馬の魅力を
京都の歴史とともに浮き彫りにした本を
2014年夏に出版した。
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その神馬の御主人の酒谷芳男さんが昨年の11月に
お亡くなりになっていた。
身内だけで葬儀を済まされていたので
上野さんも知らなかったようだ。
その上野さんが酒谷芳男さんの追悼記事を書かれたのでご紹介したい!
京都は西陣にある1934年開業の居酒屋・神馬
「うちは飲み屋だから気楽に過ごして。店内の撮影も自由に。
うるさいこと言いませんから」。
いつも笑みを絶やさず、こう語る穏やかな人柄が誰からも愛された。
京都で最も古い居酒屋の一つ。
日本のハリウッドと呼ばれた映画産業の歩みに合わせ繁盛してきた。
酒蔵作りの建物にレトロな店内。
祇園の料理店で修業した二男の直孝さんが作る創作料理が評判を呼ぶ。
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酒谷芳男さんと直孝さん
「居酒屋の世界遺産的存在」と称賛するのは太田和彦さん
「主人を中心に家族が協力し合う雰囲気が良かった。
僕にとって敷居の高い京都の入り口となった店」と話す。
中央卸売市場で半世紀近い付き合いがある仲買人の今西広美さんは
「魚を見る目は厳しいが、値段のことで文句を言われたことがない。
義理堅く心がぬくかった。いい人を亡くし寂しいわ」としんみり語る
大学卒業後、家業に入った時は、母親のとみさんが店を仕切っていた。
やくざの親分とも渡り合う肝っ玉母さんに、ボンボンとして育てられた。
酒は飲まなかったが、マージャン、競馬、パチンコ・・・・
とあらゆる賭け事をやった。
「何してもいいが、おぼれたらアカン、が口癖。
ビリヤードをしても玉の突き方がきれいと聞きました」と妻の紀代子さん
晩年はがんの再発で苦しんだが、いまわの際に
「お袋が寂しがっている。おいでと呼んでいる」とつぶやいたという。
「店の将来をどうせい、とも言わない。好きなだけやって逝きおった。
幸せな親父です」 こう語る直孝さんは、料理好きの息子と将来
2人で店をやろうと考え、今日も板場に立っている。
(共同通信記者 上野敏彦)
上野さんいわく、神馬のDNAは間違いなく伝え継がれ
途切れることはない。
私も次の京都は是非居酒屋の世界遺産と称される
神馬をのぞいてみたいと考えている。