ファッションもグルメもとにかく競争の激しい銀座で静かに流行っている鮨屋がある。

約10年前、先代の急逝により若くして二台目となった青木利勝さんは、柔道の経験ありという大柄な体に似合わず、静かで優しい雰囲気をたたえている。
(当然のことだが)毎朝自ら築地に行き、手際よくネタを仕入れ、そのまま店に戻ると早速仕込みに入り、客を待つそうだ。
私達が訪れたのは昼で、運悪く大将の前のカウンターは既にふさがっていた。
大将と反対に小柄なお母さんが間合いよくお客さんの様子を見て仕切っている。
昼の握りを注文。赤貝、ヅケ、シンコ、穴子…品の良い江戸前に満足。
しかし意外だったのは、鯖の棒鮨の味。酢のしめ具合が、限りなく鯖本来の味に近く、それでいて生とはまったく違う…。はっきり言って京都で食べたどの棒鮨よりも上品で美味しかった。
また、この店は昼なら吹き寄せちらしも人気らしい、それの注文客も多かったが、常連の客だろうと思い羨ましかった。
燗酒を頼んだら白鷹が出てきたが、あとで調べてみたら「酒」と注文すればいろいろ銘柄があったようで、ちょっと不親切だなあと思った。
江戸前についてまだまだわかったわけではないが、こういう店のことを言うんだろうな…と思い店を出た。
流行っている店は、よくも悪くも変わっていくが、この店は変わらないで欲しい。あの大将なら大丈夫かな?と勝手に思っている。
真の江戸前度★★★★
鮨青木
東京都中央区銀座6‐7‐4 ギンザタカハシビル2F
Tel03−3289−1044
平日12:00〜14:00  17:00〜22:00
土・祝12:00〜20:00  日休