獺祭の桜井博志社長と2か月ほど前だが
食のイベントでお酒のご協力をしていただき
宮崎にお越しいただいた
いつもスマートなスタイルと穏やかな笑顔だが
お酒だけではなく桜井さんのメルマガの辛口発言には全国にファンも多い
 
獺祭は大吟醸の酒しか造らない蔵だ
しかも年々売れる勢いは増すばかり
そのため昨年10月稼働の新工場を建設された
昨年は前年比151%増の驚くべき数字だ
日本の蔵元としては今最も勢いのある蔵の一つと言える
 
しかし山田錦が足りない
新工場を建設して生産能力からすると8万俵要る計算になるのだが
今年の春の時点で受注残は4万3000俵
しかし米は今年は4万俵しか入らなかったと話されていた

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桜井社長のブログから転載
 
ある省庁の偉い方が視察で私どもの蔵に来られ
「米が足らなくて酒の生産が間に合わない」
という私どもの話を聞いて、
「この時代にこんな話があるのか。日本の農業にとっていい話だ」
というよろこびの言葉を頂きました。
 しかし結果的には一向にらちが明かない
 
どうやら、獺祭は、ここまで順調に伸びてきましたが、
日本というシステムそのものにぶつかったようです。
全体では「売れない」「売れない」と嘆いているのに、
末端細部では需要に応えない。
だからこそ、全体として売れない。
その点を突き破ろうとするとセクショナリズムの厚い壁にぶつかる。

細部の都合を積み上げた結果、みんな分かっている全体の都合と反対に回っ
てしまう。

しかし、これをぶち破らなければ明日はありません。
但し、同業他社に回る山田錦を、数の力を頼んで、
こちらにとってしまうなんてことは無意味なんです。
これはきれいごとじゃなくて、獺祭を販売する上で他社の顧客を喰うという事と一緒で、
一時的には良い目を見る事が出来ても
長期的には根本的な問題が解決されませんから、結局、衰退するだけ。

とにかく、山田錦の収量を増やしていかなければどうにもなりません。
山田錦は一般の米に対して1.5倍以上の価格の米です。
こういう売価の高い米を増産するところにこそ、
農家も幸せ、酒蔵も幸せ、もちろんお客さまも幸せになれる道があると考えています。
なぜなら「需要があって足らない」わけですから、みんな良いはずです。

誰も不幸にならない、ただセクショナリズムの中にあるいくつかの部門が少しきしむだけ、
本当の不幸ではない。
しかし、壁は厚そうです。
だからこそ、旭酒造にとっても挑戦し甲斐のあるチャレンジです。
また、これを読んで自分のところでも山田錦を作ってみよう
という農家の方がいらっしゃったら声をかけてください。
但し、やる限りは10年やるつもりでお願いします。
うちも「今年は買うけど来年は・・・」なんて言いません。 
                                   転載終わり

 
 

米文化の華が日本酒だと考えると

日本の農業の再生は需要にこたえるだけの酒米の生産体制こそ
農業を強くする原点になる

 
これは当たり前のことだ!
細部の都合を積み重ねるとわかっているはずの全体の都合と反対になってしまう
という桜井社長の言葉こそが日本の農業を弱くしてきた日本のシステムなのかもしれない
先日安倍首相と直談判されたようでその行動力にも拍手である
近い将来ニューヨーク、パリに 獺祭23のお店をオープンさせられるようで
世界の日本酒ファンにとっても私にとっても嬉しいことだ
 
7月7日の大吟醸を楽しむ会での桜井社長との再会が楽しみである