初めて八女に行ってきた
興味があったのだが、なかなか行く機会がなかった
有名なお茶の産地でもあるので、山の中だと思っていたが
中心街は平地にあり
街なみも古い屋敷や白壁の家もあり
とても落ち着く街である
八女市の人口は現在62000人
手すき和紙、提灯、仏壇、漆など伝統工芸が息づく街でもある
八女市にある高橋商店(繁桝)にお邪魔した
大吟醸を楽しむ会では毎年参加される福岡のレギュラー蔵元である
高橋会長と中川社長にお話を聞いた
創業は1717年というから303年の歴史を持つ
八女を中心に福岡を入れて地元消費が90%以上の地酒蔵だ
2003年にJALのファーストクラスに大吟醸の箱入り娘が提供されるようになり
一挙に全国に名前が知れ渡った
逆に大吟醸のほうから認知度が上がった面白い現象だったそう
話を聞いた後
中川社長自ら制作したという蔵の映像を見せていただいた
酒造りがとても分かりやすく臨場感にあふれている
一言でいうとセンスがある映像で楽しめた
蔵に入り見学する
300年以上続く蔵にはこだわりと信念があり
それを踏まえて
次の新時代の酒造りに向けて新麹室を2年前に創られた
作る前に数々の蔵を見学し、たどり着いたのは繁桝らしさ
機械をライバルとして勝負をする道
結論は木作りの室で手作りの麹を極めることだった
平成30年10月に約130平方メートルという国内最大規模の室が出来上がった
驚いてしまった
これだけの広さの木作りの室を見たことはない
室の部屋は4部屋あり様々な作業を展開できるよう考えられている
室の木材には一年以上乾燥した秋田の無節の杉材を使用されている
綺麗で広い、しかも様々な工夫が施されている
蔵人にとっては言い訳の聞かない施設だ
求める麹は「突き破精麹」
米の芯の部分まで突き刺さる状態で
菌から食い込み到達する麹だ
そのためには浸漬と蒸し米の高度な技術が必要となる
蔵人もここ3年間で1.5倍にした
何があっても酒造りが続けられるように生産は2班体制にされている
そのことで若者とベテランの交流も広がったという
受け継がれてきた繁桝の味わいの芯を守り受け継ぎ
新たな酒造りに挑む
この心構えを現わすような徹底して清潔な蔵
その心意気を
シンボルとなる木造りの麹室に感じてしまった
高橋会長の後を継ぎ引き継いだ
中川社長はゼネコンの出身
門外漢から蔵元の社長になり大変な苦労があるだろう
しかし異業種だから見える酒造りの新視点はたくさんあるように思える
ハサップ認証も中川社長の号令以下全蔵人で挑戦をされている
繁桝の前は麹屋の酒名だったこともあり
今後は清酒はもちろんだが
甘酒や味噌を含めて広く麹の商品も考えていきたいと言われていた
繁桝のこれからの挑戦がとても楽しみでもある